左官にまつわるお話

漆喰

漆喰は、消石炭を主成分として、骨材、すさ、のりを組成とする不燃性の左官材料である、漆喰は左官職方の手によって壁や天井を塗り仕上げることで、意匠を凝らした趣のある空間となる。

気硬性である漆喰は、主成分である消石炭が空中の炭酸ガス(CO2)と反応して硬化する。漆喰は耐久性や防火性能の観点から城、武家屋敷、町屋などの内外壁に古くから使われてきた。住宅様式や生活環境の変化や建築材料の多様化の伴い、シックハウス症候群などの健康被害が報告されている。VOC(揮発性有機化合物)を含まない自然素材である漆喰はホルムアルデヒドの吸着・分解や抗菌性。調湿性など機能性を有するために、健康や環境の観点から注目されている。

時代の変遷と共に歩んできた湿式工法の漆喰は、伝統的漆喰塗り工法である現場調合の本漆喰、稲わらが独特な風合いを醸し出す土佐漆喰。製造工場において調合・加工された既調合漆喰の3種に分類される。

各漆喰の組成および使用材料を表にて参照

本しっくい 土佐漆喰 既調合しっくい
消石炭 JIS A 6902に適合するもの 塩焼き JIS A 6902に適合するもの
骨材
けい砂

けい砂
粉土

けい砂
すさ 麻すさ わらすさ 麻すさ
化学繊維
のり つのまた
銀杏草
- こなつのまた
メチルセルロース
その他 顔料 - 顔料
有機質添加剤

~日本漆喰協会より~

土佐漆喰

土佐漆喰
土佐漆喰
土佐漆喰は他県の漆喰に比べ、のり(海苔)を混入しません。そのかわりに、稲藁(いなわら)のすさを醗酵させ石灰と練り合わせます。
土佐漆喰の粘りは、稲藁の成分によるものといわれています。稲藁の繊維部は、産毛のような状態で素材の中に残り、壁強度を高めます。非繊維部は溶け込み、人間の肌のような(淡黄色)風合いをもたらし、壁に素朴さや温もりを感じさせています。厳しい気候に対応した耐久性の高い漆喰. 土佐漆喰の特長は、雨が多い県には気候に対応した耐久性があります。

土佐漆喰は『自然に白くなる』など、下記の3つの特徴があります。

①すさの練りこみ (1か月~2か月発酵させたもの)
②3か月~半年寝かす (袋詰した物を職人が自宅倉庫で)
    場合によっては2~3年
③左官職人の施工技法 (工程や鏝の技法・素材の組合せ)

「すさ」は土佐漆喰であるための絶対的条件です。出荷後「寝かす」事は灰玉など不純物を消化させる事によって、素材の品質が高まり壁の仕上向上に関係します。
また左官職人の「施工技法」は、砂や土等との組合わせ、懸魚(げぎょ)・面戸屋根漆喰・水切瓦(むずきりがわら)のような造形のデザインや、壁・造形仕上の鏝による技法です。

①~③の内どれかが欠けると、今日のような「日本一の壁素材」としての評価は得られなかったでしょう。

珪藻土

珪藻土 「自然が生んだ多孔質性素材だから健康的」
珪藻土とは、植物性プランクトンが海底に沈積したもの(約3000万年前)微細で超多孔質のため表面が非常に大きい多孔質であるため吸方湿性に優れた素材であり耐火性と断熱性に優れているため建材や保温材や電気を通さないので絶縁体として、また適度な硬さから研磨剤としても使用されている。昔からその高い保温性と程よい吸湿性を生かして壁土に使われています。また、焼成すると赤く変色するものもあり、見た目にも綺麗な物が多いです。自然の素材を活かした製品を使い、人の暮す環境にかかわるからこそ天然の素材にこだわり住む方が健康に過ごせる空間を演出します。

珪藻土の塗壁は結露せず、ダニ・カビを防止します。

吹付の特徴

吹付の特徴吹付の特徴 工事は、吹付タイルやリシン、スタッコなどの仕上材をコンプレッサーを使い、壁仕上げの下地面に吹き付けて仕上げます。
工事手順として、コンクリート面やモルタル塗などの下地に、下塗りをして、主材のベースを吹き付け、模様吹きの上塗りをし、仕上げは、ローラーやコテ、コンプレッサーなどを使って表面にクレーター状の凹凸模様を付けて仕上げます。

防水性を高め、モルタルなどの湿式工法の下地材のヘアークラックにもある程度追随できる材料(弾性タイル)もあります。
塗装材としての特徴は、下地への密着性、耐久性に優れており、美しく安定した仕上がりが可能であることが挙げられます。

漆喰だんご

漆喰だんご漆喰だんご 消石灰を主成分とした漆喰は調湿作用や耐久性、インフルエンザウィルスの分解や消臭効果も高いとされています。もとは泥団子ですがいろいろと手を加えると右のような光沢のある漆喰だんごが仕上がります。部屋のちょっとしたところでもディスプレイとして飾れます。

当社ではこの漆喰で不定期に「漆喰だんご教室」のイベントを開催しております。

35年前の上棟式風景

上棟式は基本構造が完成して棟木を上げるときに行われます。
どんな建物にも棟上をし上棟式を経て漆喰の仕上げ作業と進んでゆくのは今も35年も変わらない過程です。

上棟式五色の布は、御神前の威儀具として設けられる真榊や、上棟祭の折、屋根の上に付けられる吹き流し、また、神輿渡御の行列の五色旗などさまざまなものに用いられています。 古くは『延喜式』に神前に供える幣物として「五色幣の料の絹」「五色の帛」「五色物」とあり、五色の幣帛が祭料として欠かせぬものであったことが窺えます。これは今日でも変わらず、宮中から勅祭社に奉献される幣帛は五色の布帛であり、神前に供える御幣も白色の他、五色のものが用いられています。この五色とは、古代中国に成立した五行説(ごぎょうせつ)に基づくもので、我が国にも受容されました。この説は宇宙間の森羅万象を、五元素である「木・火・土・金・水」の行い(作用)により具象化されたものとして捉えます。この五元素は、色彩の他、方位や季節、時間、十干、十二支、惑星、内蔵、人間精神などさまざまな事象に当てはめられています。ですから五色は天地万物を組成している五つの要素の象徴であり、宇宙そのものを表したものということができます。
具体的に「木・火・土・金・水」を色彩で表すと、「青・赤・黄・白・黒」の順序となり、方位では「東・南・中央・西・北」を示すので、「土=黄=中央」が最も尊貴であるとも考えられています。また、神社の殿内装飾として用いられる四神旗(しじんき)に描かれている四方位の霊獣も、それぞれ五行に配されており、貴き中央を除き、「東=青龍」「南=朱雀」「西=白虎」「北=玄武」となっています。
現在、真榊や五色旗に用いられている五色布は、真榊の場合は両端より中心に向かって、緑(青の代用)・黄・赤・白・紫(黒の代用)の色の順序に、上棟祭の吹き流しで一列に並べる場合は、東方より緑・黄・赤・白・紫の順に並べるのが通例となっており、色や順序が多少異なりますが、意味には相違がないと思われます。

神社新報 『神道いろは』より転載

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